社員のやる気やモチベーションが上がらなくてお困りですか?
この記事には以下のことが書いてあるので、社員の状況に合わせて悩みを解決する方法がわかります。
・営業職、事務職といった職種別のモチベーションの上げ方
・部下、リーダー、派遣等職掌別のモチベーションを上げ方
・社員の反発を抑えながらマネジメント側の思いを伝える方法
事例や具体的な方法も紹介していますので、社員のモチベーションアップのお役に立てれば幸いです。
【職種別】社員のやる気を引き出しモチベーションを上げる方法
社員のモチベーションを上げるにはまず、職種による悩みやプレッシャーの違いを汲んであげることが重要です。
立場への理解を示すことで社員もより、素直に受け止めてくれます。
営業職のモチベーションの鍵は“自由度”
営業職に対しては、成果や数字へのプレッシャーを汲んだ上で、次の2つを行うことでやる気を引き出し、モチベーションを上げることができます。
結果を出すまでの経過とモデリングに自由度を持たせる
営業職にとって目標の達成は重要な仕事ですが、達成までの経過(=やり方)とモデリングにはある程度の自由さや裁量を認めてあげてください。
モデリングとは私は「憧れの対象を見つけ、言動や行動を真似て成長していくこと」と定義しています。
私がかつて所属していた吉本興業は結果(=会社の利益)にはこだわる会社ですが、それまでの経過は自由であることを認めてくれていました。
芸人として売れるためであれば、漫才師でも落語家でもコント集団でもアイドルでもいい。
会社が多くのモデリング対象(=先輩)を見せてくれ、自分にあった方法を探し、自由に結果を目指すことを許されていました。
モデリングと経過に自由度を与えると、能動的な行動とチャレンジ精神を生み出します。
「大きな夢」と「小さな目標」を常にセットで提示する
夢や目標はモチベーションアップに貢献しますが、「未来の大きな夢」と「近くの小さな目標(課題)」を常にセットで提示しなければなりません。
未来の大きな夢だけでは現実感が出ずに一歩を踏み出せず、近くの小さな目標だけでは何のために頑張るのか?を見失うからです。
「大きな夢」と「小さな目標」を立てるポイントは以下の通りです。
大きな夢 | 小さな目標 | |
---|---|---|
ポイント | 出来るだけ具体的・正確に提示する | 成功率7割くらいをイメージしてチャレンジさせる |
大きな夢では「5年後に売り上げを3倍にする」より「5年後に 〇〇部門と〇〇部門の売り上げを○%強化しつつ、他の部門は今の数字を守ることで チーム全体の売り上げを3倍にあげる」などより具体的に数値目標に落とし込んでください。
小さな目標はちょっとコツがいりますが「少し頑張ればやり遂げられそう」と社員に感じさせる難易度のものを用意します。
7割の塩梅は、普段から社員の姿を丁寧に見てあげれば必ず分かるようになります!
事務職のモチベーションの鍵は“可視化”
事務職の社員に対しては「売上を上げていない」という間接職としてのプレッシャーを汲むことがポイントです。
さらに次の2つを意識することがやる気とモチベーションアップに繋がります。
早めにSOSを拾う
事務職は営業職のように数字などわかりやすい評価がない分SOSも表面化しにくいため、できるだけ早くこちらからSOSを拾ってあげることが重要です。
少し厳しい言い方をすれば「悩みや不安を持つ社員」は「生産性を落とす、チームの敵」となります。
さらに厄介なことに一人の生産性低下は、早いスピードでチーム全体の生産性低下に繋がります。
悩みや不安が表面化しづらい事務職の社員に対しては一層アンテナを張っておきましょう。
なお、ここでのポイントはSOSを拾うことであり、強引に解決しようとしないことです。
心理学の専門家の立場からすると、SOSを抱える社員が、まず最初に望むのは上からの解決策より「気づいてもらえた」という横の繋がり。
「あなたが困っている・不安になっている・困りごとがある事を気づいているよ。」を伝えてあげることです。
SOSを拾うというプロセスを踏むことで信頼関係を築きやすくなり、あなたのアドバイスに耳を傾けてくれる可能性も大きくなります。
「可視化できる認め方」をする
成果が見えにくい仕事だからこそ事務職の方に対して褒めたり、認めたりするシーンが生まれたら「可視化できる認め方」をすることが重要です。
漠然と「素晴らしい」ではなく、「●●を□□してくれたことで営業職の残業が△%減った」など具体的かつ、なるべく数字や比較対象を使って伝えてください。
可視化のヒントとして、営業会議に時々一緒に入ってもらう手があります。
営業職の仕事の仕方や他の部署の動き、1つの売上を立てるのにどれくらいの努力をしているのを知ってもらうのです。
もちろんその逆もありです。
お互いの仕事がどう関連づけられているのか、またお互いが大切だということを理解してもらうきっかけを用意しましょう。
事務職の仕事が他部署と繋がっていることを知ってもらうことはモチベーションアップに欠かせません。
【職掌別】社員のやる気を引き出しモチベーションを上げる方法
新入社員と中堅社員、正社員と契約社員。
立場や職務(職掌)、役目が違えばモチベーションが下がるポイントも上がるポイントも違います。
職掌の違いを踏まえた声がけや環境づくりを行うことで、やる気を引き出すことができます。
部下には居場所を与える
部下のやる気を引き出すには、部下たちに自由に考えさせ、自分たちの居場所だと感じさせることからスタートすることが肝です。
人はどんなに正しいことでも他人から何かを強制されると反発したくなる「心理的リアクタンス」という作用が発動されます。
つまり部下にいきなり「●●をしなさい」と言うのは逆効果だということです。
私が専門学校の学校長に就任した2017年、それまで整備されていなかった校訓(企業で言う企業理念)や学則を作り、学生たちに守らせようとしました。
しかし学生たちは全く守りませんでした。
そこで学生の中心メンバーを呼んで自分たちで学則を作らせたところ、出来上がった学則の内容は私が作ったものとほぼ同じ。
だけど学生たちは学則を守り、さらに私の「これも追加した方が良いのでは?」という提案も素直に受け入れてくれるようになりました。
責務を果たすため、また親心でつい部下にはルールを与えがちですが、先に自由に考えさせることで、モチベーションを高めることができるのです。
リーダーには任命理由を伝える
リーダーの場合、リーダーへの不安・プレッシャーを軽減し、モチベーションを消さないことが大事です。
そのためにはまず「なぜリーダーにしたか」「あなたをリーダーにしたことでチームをどうしたいのか」を伝えてあげてください。
マネジメント側が望んだリーダー任命であることを伝えると同時に、ある程度の権限も与えるのことも大切です。
以前、学校長を務める専門学校で調理師課の主任を任せたことがありました。
任命の折、「小さな問題はあなたで解決してほしい。あなたにはそれだけの力があるし、その決定権を与えます。だから主任にしました。」と伝えたことで、より意欲的に主任を務めていただけました。
その後は、リーダーに「3つの車輪」を把握してもらいましょう。
3つの車輪とは、下記の通りです。
1.自分のやりたい仕事
2.自分のできること
3.周りに望まれていること
リーダーとして上の3つを整理し、3つ全てが重なったところが、そのリーダーのもっとも強みが発揮できるポイントとなります。
任命時だけでなく、定期的に面談するなどして3つの車輪を見つけたり、磨いたりする時間を取るのも有効です。
リーダーのモチベーションはチームや会社全体のモチベーションに関わるので、定期的なフォローが必要です。
新入社員には「褒める・叱る3か条」を活用する
フレッシュでエネルギッシュ、そして繊細で若い新入社員に対しては、褒めるシーンと叱るシーンを上手に活用しましょう。
この2つのシーンは社員のモチベーションを高めるだけでなく、コミュニケーションを円滑にし、会社全体を飛躍させる大チャンスです。
とはいえ、私も初めから褒める・叱るを上手に活用できたわけではありません。
私の職業の一つであるテレビプロデューサーの仕事を通して1500人の子ども達と関わった経験から、効果的な褒める・叱る3か条を子ども達との関わりから教わりました。
褒める時の3か条 叱る時の3か条 1 名前を呼ぶ (可能な限り)現行犯で! ダイバーシティ時代の若者は個を大切にしている。あなたの個を認めているんだよ!というメッセージを伝える。 出来ればその日のうちに叱る。後日になると相手と自分の記憶や感情も曖昧になり、効果が薄くなる。 2 全員の前で 陰で!(皆の目に触れないところで) 他者にも何をすれば認められるか?を明確にできるチャンス。 叱ることは相手に恥をかかせたり傷つけるのが目的ではなく、これを機にプラスに変えてもらうポジティブなものと心得る。 3 3日間(最低3回) 一言! 何度も伝えることで相手の承認欲求を満たすことで、次も褒められる行動を起こそうとする。 相手のプライドを守り、相手を尊重するため、影でサッと済ませる。
どうしても後日に叱る場合は、その場面をリアルに細かくイメージできるように言葉を掛けましょう。
コラム:褒めると認めるの違い
実は、褒めるより効果があるのが「認める」ことです。
褒めるとは、業績を上げた・営業を取った・プレゼンを成功させたなど結果への言葉かけ。
認めるとは、業績を上げようとどのような努力をしたのか? プレゼンを成功させるためにどんな準備をしたのか? など経過への言葉かけ。
社員の中には、なかなか褒めるところまでたどり着けない方もいるかもしれません。
今はたどり着けていないが、たどり着こうとしている「経過」にも言葉かけをしてあげてください。
きちんと見てくれているというのが伝われば、きっと褒めるところまでたどり着こうとしてくれるはずです。
人事異動した社員には人望の大切さを伝える
ほとんどの人は経験のないところに行くと動揺するものです。
例えば間接部門から営業職への人事異動などは、仕事に必要なスキルはもちろん評価方法や部署の雰囲気がガラリと変わります。
動揺や不安を抱える社員に対して最初に行うべきは「最初から仕事のスキルは求めていない。その前にあなたと一緒に仕事をしたいと思われるかどうかが大切」というのを伝えることです。
どんなにスキルがあっても威張り散らかしている人はどこの部署に行っても成功しません。
異動した社員に一番求められているのは一緒に仕事をしたいと思われる人物かどうかであり、周囲にそう思われると助けてもらえ、教えてもらえ、聞きやすくもなるということを教えてあげてください。
慣れない仕事やスキルへの不安が軽減され、自分磨きということに意識が集中することでモチベーションが上がります。
アルバイトには周囲にもミッションを共有しておく
アルバイト社員に対して一番心得ておきたいのは軽く扱わないことです。
当たり前ですが、つい疎かにしがちなので改めて意識しましょう。
その上で、アルバイト社員を受け入れる前にチーム全員に対して「何のためにアルバイトに来てもらうのか」ということを共有しておくことが重要です。
例えば私の仕事の一つであるテレビ番組制作で、現場トップのディレクターが必要と判断してアルバイトを雇ったとします。
しかしアルバイト雇用の目的を他の社員と共有していないと、現場No.2のフロアディレクターがアルバイトに難しい仕事を投げかけて上手く回らず、現場の雰囲気が悪くなるということが起こりうるのです。
こうした状況では当然、アルバイト社員のモチベーションは下がります。
そしてアルバイト社員に対しては「何をするために仕事をお願いしているのか」というミッション内容を明白に伝えておくことが大切です。
それと同時にアルバイトにも責任はついてくるということもきちんと伝えておきましょう。
アルバイト社員を大切にすることで、責任があることも理解してもらうことができます。
派遣社員には個人対個人を意識してコミュニケーションをとる
派遣社員は雇用(契約)不安定なのに任される仕事は正社員と同等ということへの不安と不満を抱えがちであり、それがモチベーションの低下の原因になります。
会社組織への不満が溜まりがちな契約社員がついていきたいと思えるのは、組織のしがらみの外にいる、自分の言葉で語れるリーダーです。
だから個人対個人を意識してコミュニケーションをとっていくことが重要です。
それにより派遣社員の自尊心をフォローでき、期間内でもしっかりと働いてもらうことができます。
私で言えば、ドリームプロモーションの津田ではなく、対個人としての津田という立場でコミュニケーションを取っていくのです。
会社の人間として言う言葉と、個人としてかける言葉の違いを意識しましょう。「これは個人的な意見だけど…」という枕詞も使えます。
社員の心理的反発を抑えながらマネジメント側の思いを伝える方法
本記事では職種別・職掌別のやる気の引き出し方、モチベーションの上げ方について解説しました。
ただ職種や職掌に限らず、仕事で大切なことは自ら興味を持つことです。
学生の時は周りの大人が仕向けてくれますが、社会人になったら自ら動かないと情報が入ってきません。
つまりマネジメント側としては社員が自ら動きたくなるような環境づくり、声かけが重要です。
一方で2-1でも紹介したように、マネジメント側から自発的な行動を強制されると、社員には「心理的リアクタンス」反発作用が働いてしまいます。
そこで社員研修が大事になってきます。
外部の第三者から、しかも異業種の講師の話を聞かせることで「心理的リアクタンス」を抑えながら、マネジメント側の気持ちを理解してもらうことができるのです。
社会人生活はともすると世界がどんどん狭くなっていきます。
だけど、いつもとは違う世界の話は大人になっても興味深いもの。
社員研修という異世界を上手に活用して、社員のモチベーションアップ、さらには会社の業績アップにつなげてください。
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