この記事には以下のことが書いてあります。
・社員のモチベーションを上げるための仕組みの作り方
・モチベーションを上げると会社の業績がアップする理由
・会社の組織力を強化する社内ルールの作り方・見直し方
社員のモチベーションでお悩みのあなたの問題を解決する手助けになれば幸いです。
【ステップ1】社員の満足感を高める仕組みを作る
社員のモチベーションを上げる最初のステップは、社員の満足感を高める仕組みを作ることです。
そこで、この章では社員の満足感を高める仕組みについて4つのポイントを解説します。
社員の満足感を高める4つのポイント
社員の満足感を高める仕組みは次の4つの要素のバランスを整えることが重要です。
・給与面:給与、仕事に対する報酬
・仕事内容:仕事の内容、職種(営業職、事務職など)
・人間関係:対人関係、役職・立場による関係
・職場環境:オフィスの綺麗さ・明るさ、連絡・相談窓口の設置などハード面の整備
例えば、下記の状況だとモチベーションは下がってしまいます。
・給与は高いが社内の人間関係がギスギスしている
・希望する職種に就けたがオフィスが不衛生
・リーダーを任されたが、いざという時の相談窓口や責任の所在がはっきりしていない
4つの要素をバランス良く整えなければなりません。中でも、数値化や明文化が難しい「人間関係」と「職場環境」を整える仕組みが鍵となります。
人間関係と職場環境を整える仕組みの作り方
人間関係の面では、役職や立場による役割と責任の範囲をはっきりさせてください。
例えば「プロジェクトAでは、予算内であれば全ての決定権はリーダーに委任。ただし
決定による結果に対して責任を負う」といった具合です。
実は、職場の人間関係の問題の原因は、役割や責任の範囲の不明確さということが多くあります。
「あの人は自分より働いていない」「あの人の指示で動いたのに、責任を取ってくれない」こうした気持ちが生まれにくい仕組みが重要です。
職場環境では働く場所の安全、清潔などを保つとともに、相談窓口の設置が欠かせません。
「Bに関する問題は、●●課長に相談する」というように、連絡・相談先を仕組みとして用意しておきましょう。
いざという時の受け入れ先がある、とわかるだけでも社員は安心して仕事に取り組め、満足感を高めることができます。
満足感が会社の業績アップに繋がる理由
満足感が会社の業績アップに繋がる理由は、人間の本質的な性質にあります。
人間は自分にとって安全であったり、居心地が良かったりする場所を守ろうとします。
満足感を得られる職場は当然居心地が良いので、その場所を守ろう、さらにはもっと良い環境にしたいという気持ちが働き、自ら動くようになるのです。
私のよしもと芸人時代の話をしましょう。
まず吉本興業は芸人に“劇場”と“楽屋”という職場を与えてくれます。
楽屋は他の若手芸人と交流したり、憧れの大先輩と話す機会を得たりと、駆け出しの芸人にとってありがたく、“居心地の良い”場所でした。
まだ売れていなくても(お金がなくても)、芸人にとっては満足感が高い職場だったのです。
よしもとで学んだ満足感が職場に与える影響
よしもとで与えられた楽屋の使い方は自由。
ルールは芸人たち自身が考えて好きなように使うことができましたが、たった一つだけ約束事がありました。
それは「トチってはいけない」ということです。
「トチる」とは、本番を忘れる、本番に遅れるという意味で、芸人にとって最も犯してはいけないご法度。
トチれば、お客様や関係者に迷惑をかけ自身のチャンスを失うだけでなく、楽屋という居心地の良い場所を失うことに繋がります。
だから、芸人たちは絶対にトチらない仕組み、ルールを自分たちで作っていきました。
例えば、自分が出演したら2つ後の出演者に伝えに行く、小道具やファンレター置き場を定めスムーズに進行するようにする、などです。
満足感の高い職場を作ると、社員はそれを守るために動く=仕事をしやすい環境を自ら整えようとするということです!
【ステップ2】モチベーションの方程式を理解する
よしもと芸人、講演家、経営者、学校長という経験を経て、私がたどり着いたモチベーションの方程式を紹介します。
外発的要因と内発的要因
社員のモチベーションを上げるには、外発的要因と内発的要因の両方が必要であることを理解しておくことが大事です。
それぞれの特徴は以下の通りとなります。
例 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
外発的要因 | 給与・ボーナス | 瞬間的にモチベーションが上がりやすい。 | 続きにくい(給与等をずっと上げ続けないと効果が出ない)。 |
内発的要因 | やりがい・楽しみ | モチベーションが持続しやすい。 | 効果が出るまでに時間がかかる。 |
社員のモチベーションを上げ、会社組織として健全に成長していくには、外発的要因、内発的要因の両方を整えることが重要です。
モチベーションの方程式
モチベーションの方程式とは【K+K×m(←M3)】です。
各アルファベットは、次のことを意味します。
・一つ目のK:knowledge(ナレッジ)、正しい知識。
・二つ目のK:know-how(ノウハウ)、方法。
・m:mind(マインド)、「やってみよう」という気持ち。
・M3:3つのmatch(マッチ)。自分と相手(同僚、上司、部下など)とで「気持ちを合わせる」「仕事のゴール・目的を合わせる」「仕事の進め方を合わせる」。
方程式を日本語に直すと、【モチベーションは、正しい知識と方法、そして「やってみよう」という気持ちによって高められる。(その気持ちを生むのは、3つのマッチ)】
方程式の効果的な使い方
方程式を効果的に使うポイントはマインドの「m」、つまり「やってみよう」という気持ちを小さいものから始めることです。
ごくごく簡単にできること、「1回くらいやってみよう」と思わせるような内容にしてください。
私達がついやりがちなのが、方程式の2つのK(知識や方法)だけを伝えることです。
残念ながら知識や方法を伝えるだけでは、ほとんどの人はモチベーションを高めて仕事を進めることはできません。
まず職場の関係者間で気持ちや仕事のゴール、進め方を共有するという3つのマッチ(M3)によって「それなら、ちょっとやってみよう」という気持ちを湧かせる。
そこで初めて仕事の知識や方法が活かされるのです。
「m」だけが小文字なのも、そういう意味があったのです!
「M3」の事例とポイント
モチベーションを高めるスタート地点である3つのマッチ「M3」の事例を、私が学校長を務める専門学校を舞台に以下にピックアップしました。
社員にとっての具体的なメリットは、外発的要因と内発的要因がセットになっているとなお良しです。
M | 意味 | 事例 | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 気持ちを合わせる | 新入生を40名から60名に増やそう!それにより、実施できる行事の選択肢や給与が増える。 | 会社として目指す方向に対して、社員にとっての具体的なメリットまでを示す。 |
2 | 仕事のゴール・目的を合わせる | 高卒枠を10名、留学生枠を10名で合計20名増やす。 | 1つの目のMを達成するための具体的なゴールを、数値など客観的に評価できる指標を使って定める。 |
3 | 仕事の進め方を合わせる | A先生は高校廻りを担当する。B先生はオンラインで授業を公開して認知度を高める。 | 誰が何をするかの役割と責任を明確にする。 |
人は自分の役割が明確になると一歩を踏み出しやすくなり、責任の範囲が定まることで、「あの人はやっていない」といったコミュニケーションのこじれや不満も生まれにくくなります。
【ステップ3】リーダーが育つルール・環境を作る
ここでのリーダーとは、必ずしも部長や課長といった役職付きの人物だけを指しません。
小さなプロジェクトのチームリーダーや特に係として定められなくてもチームの中でメンバーを引っ張っていく人物も含みます。
ここでは社員のモチベーションや会社の業績に与えるリーダーの影響力について解説します。
リーダーがもたらす組織力の強化
リーダーがリーダーらしく振る舞える環境の下で適切なリーダーシップを発揮できると、会社の組織力は強くなります。
なぜなら社員が抱くリーダーに対する信頼や尊敬の念は、モチベーションを上げる内発的要因だからです。
「この先輩についていきたい、この先輩の下で働きたい」という気持ちが仕事へのモチベーションに繋がります。
そしてリーダーを通して会社の理念や社風が浸透し、企業としてのオリジナリティ、差別化、組織力の強化を生み出すのです。
コラム:エンゲージメントとは
仕事に対して精神的に前向きな状態にあること、社員が会社に対して愛着を持つことを「エンゲージメントが高い」と言います。モチベーションアップに関する著書等でよく見られる言葉ですが、リーダーの存在もエンゲージメントを高めるのに寄与すると言えます。
信頼を得るリーダーに必要な姿勢
社員のモチベーション、会社の業績や組織力の強化に影響を与えるリーダーには、言葉・行動・雰囲気の三要素が適切な形で揃っています。
より注意したいのが日頃、何気なく発する言葉です。
例えば、リーダーがお客様の文句を言っていたら、下についている社員もお客様に対して不満を抱いたり、抱えていたネガティブな気持ちが表面化します。
するとお客様への対応、さらには職場の雰囲気が悪くなります。
嘘をつく必要はありませんが、リーダーは前向きな言葉を使う、笑顔を見せるといったことが重要です。
仕事に対してポジティブな姿勢を見せましょう。
リーダーについては著書でより詳しくお伝えしています。
元よしもと芸人!!・今は校長先生?? ダイバーシティな変わり者が伝える 若手リーダーが持つべき「巻き込み力」
リーダーを育てるルールの作り方
優秀なリーダーを育て、社員のモチベーションを上げるには、適切な社内ルールを作る、もしくは見直しが必要になります。
特に考えたいのがペナルティーです。
ルールの中にペナルティーがあるのは珍しくありませんが、それがペナルティーの本来の意味から逸脱していないか吟味しなければなりません。
例えばスポーツのルールにペナルティーがあるのは、選手の安全を守るため、試合の質を向上させるためです。
ところが企業の場合、単に罰を与えるだけのペナルティーになっているケースがあります。
ペナルティーを設けること自体は問題ありませんが、今の時代にそぐわない慣例的に定められた内容ではないか、社員のやる気を損なうものになっていないか、という点はよく精査してください。
適切な社内ルールは、組織力の強化や会社の業績アップに繋がります。
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